前回に引き続き、株式交換入門の第4回です。
今回は株式交換の会計処理について見ていきます。
(文頭のマークが◆◆→先輩、◎→後輩 です)
株式交換の会計処理
単体の会計処理
完全親会社の会計処理
◎株式交換の当事会社の税務を検討する前に、それぞれの会計処理をみていこうということでしたが。
◆◆まず、完全親会社の会計処理だけど、以下の前提でどのような会計処理をするかな?
【前提】
- 株式交換比率 1:3
- 完全子会社となる会社の発行済み株式総数 20株
- 完全親会社の株価 50
- 完全親会社は新株を発行し増加資本は全て資本金として処理
- 株式交換前の持ち合い関係なし
◎完全親会社において新たに発行する株式数は、20株 x 3 =60株ですね。これに完全親会社の株価を乗じて、50 x 60株 =3,000 が増加資本でしょうか。
◆◆それでOKだね。
◎会計処理(仕訳)は
ですね。子会社株式を公正な価値で認識したという感じですね。
◆◆その仕訳で正しいね。
完全子会社の会計処理
◆◆では、次に完全子会社の会計処理はどうなるかな?
◎えーと、完全子会社は、、、株主が変わるだけで完全子会社においては何ら実態が変わらないと思うのですが。
◆◆うん。
◎そうなると、会計処理は「なし」ですね。
◆◆会計処理がなしとなるのはOKだよ。
◎そして、会計処理がなければ税務も同様に何ら調整が不要ですかね?
連結の会計処理
◆◆うーん、税務について考えたくなる気持ちはわかるけども、その前に会計処理について忘れていることがない?
◎?
◆◆いまは、親会社と子会社の単体の会計処理を見てきたのだけど、株式交換っていうのは他の会社を完全子会社にする制度だよね?
◎ああ、そうでした。親会社の連結上のインパクトがあるってことですね。
◆◆そのとおりだよ。
◎えーと、連結上の処理はどのように考えれば良いのでしょうか。
◆◆実はそこは難しく考えずに、連結処理は現金対価で株式買収をしてきたときと同じように考えれば良いんだよ。
◎要は、普通に連結仕訳を作れば良いのですね。たしか、連結のキーワードは「合算と消去」でしたよね。
◆◆そうだね。そして、その前に完全子会社を全面時価評価法で時価評価する必要があるのも忘れないでね。
◎そうでした。復習しておきます。
(連結会計の参考記事)
税務はどうなる?
◎会計は分かりましたが、税務はどうなるのでしょうか。次のようなイメージを持っているのですが・・・
- 親会社側:会計処理は株式と資本の増加仕訳でしたので、同じように処理
- 子会社側:仕訳なしだったので、同じように仕訳なし
◆◆うーん、残念ながら違うねえ。先ほど話題になった税制適格を忘れてしまっているよね。
◎そうでした。税制適格について考えなければならないんでしたね。
◆◆では、次は株式交換の税制適格性について考えていこうか。
(次回に続きます)