今回から不定期企画として、M&AのFinancial Advisory業務(FA業務)を続けていくために必要なことを挙げていこうと思います。
今日は第1回目の記事として、
の大切さについて考えてみたいと思います。
なぜ学ぶ姿勢が大切なのだろうか
FA業務をざっくりと分けてみる
FA業務の仕事をざっくりと分けると、
- スキームに関する助言
- 金額に関する助言(Valuation)
- プロセスに関する助言及びプロセスの進捗管理
- 条件交渉に関する助言
- 各ステークホルダーへの説明に関する助言(IRや社内説明含む)
という5つの分野に分けられるのかなと思います。
実際に、これらのそれぞれの分野で、毎度勉強が必要になるなと感じております。
すこし具体的に考えてみましょう。
毎度勉強が必要な理由を具体的に考えてみる
ある特定のタイプの案件ばかり担当しているFAの場合
たとえば、株式譲渡の案件ばかりやっているFAの場合、株式譲渡に関するスキーム上の論点や相手方との交渉戦略については詳しくなっていくのかもしれません。
ところが、そのFAが新規の案件として株式移転による経営統合に関するアドバイザーとして起用された場合には、メタ的には活用できる知見があるとしても、法規制や会計税務を含め、新たな取引類型としてゼロから勉強し直さなくてはならないはずです。
Valuationのためにビジネスモデルを理解しようとする場合
また、別の例を挙げますと、「金額に関する助言」というのは要はValutionのことですが、Valuationを正当にやろうとすると、対象のビジネスモデルについてある程度勉強する必要があります。
特に不慣れな業界ですと、その業界特有の専門用語が多々あったりもするので、そういったものをゼロから学ぶことになるわけです。
ある程度の期間FAの仕事をして経験を積んでいくと、取引スキームやプロセスについては類似のものを経験したことがあるというケースが増えては行きます。しかし、その案件で、Valuationのためにビジネスモデルを理解しようとしたら、
「このようなビジネスは初めて見ました!」
という状況なんてことは普通にあるわけです。
ということで、何年この仕事をしていたとしても、たいていの場合には新規の案件が始まる場合には何かしらの勉強すべき要素があるようです。
なので、過去の知見だけに限らず、毎度新たに勉強していこうという姿勢が大切になると考えているところです。
いきなりですが、世の中の仕事をざっくり2つに分けてみます
なお、世の中の仕事を極めて大雑把に2つに分けるとすれば、
- ルーチンワーク
- ルーチンワークではない仕事
に分けられると思います。
FAの仕事はどちら?
FAの仕事は、「ルーチンワークではない仕事」という部分が大きなところを占めるように感じます。
そもそもクライアントが毎回違うわけで、相手のレベル感や興味度合いも異なります。
なので、それらの要素を勘案しながら案件を進めていくことにもなります。
いろいろなことを日々学びながら、そして相手のことも学びながら案件を進めるというタイプの仕事が好きでないと、FAの仕事そのものがいつか苦痛になってしまうかもしれません。
あなたはルーチンワークを希望していませんか?
ということで、FA業務をやってみようと思う方には、今一度、自分は日々勉強が続くような仕事が好きなのか、それともある意味で仕事は仕事だと割り切ってルーチンワーク的なものでも良いと思うのかを、自分に正直になって考えてみるのことが必要だろうとな感じております。
なんとなく、FAの仕事は派手そうでM&Aと聞くと格好良さそうと思っても、ルーチンワーク的な仕事が好きな場合には、いざやってみるとつらい部分が大きいかもしれません。
さいごに
以上のように、FAの仕事をする上で大切なことの1つ目として
- 何でも学んでいこうとする姿勢
について考えてみました。
学ぶことが大好きだ、ルーチンワークは嫌だという方にはFAの適正があるかもしれないので、トライしてみると良いかもしれません。
(参考記事)
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