不定期企画として、M&AのFinancial Advisory業務(FA業務)を続けていくために必要なことを考えておりますが、今日は2回目の記事として、
の大切さについて考えてみたいと思います。
(参考記事:前回の記事)
伸び悩む若手の葛藤
ジュニアワークの資質は向上傾向
毎年、新人として採用されて配属される若手の方を見るに、ジュニアワークの資質という意味では毎年向上してきていると思います。
エクセルやパワーポイントで資料を作ってもらっても、見た目が綺麗なものを作ってくれますし、エクセルのロジックもわかりやすくてレビューも効率的にできます。
一方で、そのような「良い資料」を作れる若手が中堅に差し掛かったとき、中堅層に求められるワークにうまくシフトできる人とそうでない人に分かれてしまうような気もしております。
ある若手はすんなりとクライアントの仕切りを任せられるようになるものの、別の若手は、ジュニアワークをやらせたら完璧であるがクライアントの仕切りは任せられないという状況になってしまうわけです。
仕切りを任せられるようになるメンバーとそうでない方との違いは何でしょうか。
どんな若手なら仕切りを任せられるか
一言で言うと、仕切りを任せられるメンバーとは
人物なのだと思います。
ちなみに、ここでいう「M&Aプロセスの進め方のイメージ」とは、プロセスレターを配布して意向表明書を待とう、といった粗いレベルの話ではありません。
仮にプロセスレターを作成するとしたら、まずはその一歩をこの具体的な案件においてどう踏み出すか、というレベルの話です(プロセスレターの素案をFAとして作成したあと、どのような方法でクライアントの皆様の承諾を得ていくかという「一歩一歩の進め方」をイメージできるかどうかという次元のものです)。
このイメージを持てているメンバーであれば、大枠だけ指示しておけばあとは適切に捌いてくれるので、上にいる者としてもとても楽です。
伸び悩む若手は
一方で、伸び悩む若手はDDのQ&Aのやりとり等はできるものの、クライアントの意思決定のサポート的なものになると、苦手意識があるようで、自分では決められないと申し出てきたり、そもそもどう進めるべきかわからないという事態に陥っているようです。
また、そういうメンバーは、案件をどのようにドライブしていけば良いのかイメージが持ちにくいようで、相手方とのFAと会話してみても、どのように落としどころを迎えるのかにつき、アイディアなく話してしまうこともあったりするようです。
さらに、自分の意見を言わない(言えない)人物が仕切りを担当すると、顧客としてもはっきりと助言をしてくれないFAに困りますし、チームの若手も総花的に作業を命じられる傾向にあり残業が減らないということになったりもします。
何が違いを生むのか?
自分だったらどうするか? という視点
仕切りの仕事にスムーズに移行できるかどうかの分かれ目となる要素としては、若手の時代にどれだけ「自分の意見を持って仕事をしていたのか」にかかっているのだと、個人的には感じております。
すなわち、エクセル・パワポ等のジュニアワークがさほど得意でない若手であっても、顧客との会議に参加して、自分だったらどう仕切るだろうとか、この先輩の仕切り方上手いなとか考えて会議に参加していた方は、いざ仕切りを担当させてみるとスイスイと進めたりします。
一方で、若手の時代に単に「議事録を取れば良いんでしょう」的な受け身な姿勢で会議に臨んでいた方は、残念ながら仕切りが上手くいかない傾向にあるように思います。
信頼できる先輩となら色々とディスカッションしてみるのも一案
若手の方には、これでもかというくらい、自分だったらこの案件をどのように仕切るのかを考えて仕事をして欲しいと思います。
そして、場合によっては仕切りを担当している案件の先輩と、
「このように進めるというアイディアについてどう思いますか?」
とディスカッションをしても良いと思います。
理解のある(?)先輩の場合、良いアイディア出しをしてくれるのは嬉しく思うはずです(もちろん、ジュニアワークをしっかりとこなしている前提ですが)。
ただし、頑固であってはならない・・・
ただし、これが難しいところなのですが、自分の意見を持つことと、それに頑固に固執することは違うと思います。
良い意見があれば、それは積極的に取り入れる方が、チームとしてのパフォーマンスは高まりますので、シニアバンカーであっても、後輩の良い意見は取り入れるべきですし、後輩は先輩の言っていることに合理性があると思うなら素直に従う方が良いと思います。
まあ、言うは易し行うは難し、なんですけどね。
さいごに
自分の意見を持つことと素直に相手の意見を聞くことのバランスをとることは難しいですが、伸びる若手はこのバランスの取り方が上手いなあと感じます。
(次回の記事)