今回はM&AのFA業務への転職プロセスの説明をしてみようと思います。
転職のエージェントを使うかどうかで少し異なりますが、近年はエージェントを使うのが主流だと思いますので、その場合の一般的なプロセスを説明します。
プロセスは概ね次のように進むと思います。
- エージェントへ登録
- エージェントの担当者と面談
- 転職案件の紹介と希望先への応募
- 書類審査(履歴書及び職務経歴書の送付)
- 面接(通常複数回)
- 転職の内定(オファー)獲得と条件交渉
FAの転職プロセスの概要
1.エージェントへ登録
転職のエージェントにはリクルートエージェント、インテリジェンス、JACリクルートメントといった大手企業、そして各業界ごとに中堅エージェントもあり相当数のエージェントがあります。
エージェントの仕事は中途採用を募集している会社と採用候補者とをマッチングして、中途採用する会社からの手数料によって成り立っているビジネスです。
ゆえに、転職候補者(応募者)は原則として最後まで無料でサービスを受けられると思います。
エージェントへの登録はほとんどの場合Webでできます。エージェントのWebサイトから登録用のページにて、プロフィール(学歴・職歴)、転職先としての希望の職種、給与などの条件を入力していきます。
2.エージェントとの面談
一般的には、登録後はエージェントとの面談に進みます。
エージェントの担当者が決まり、その方と面談してどのような転職案件に応募できそうか見定められることになります。
なお、エージェントによっては、
「転職するつもりがなくてもまずは登録だけはしてみましょう」
とか、
「転職の前に、まずはキャリアプランの相談からも受け付けます」
とかいう宣伝をしていることもありますが、エージェントのビジネスモデルは、転職案件を完了させてなんぼの商売なので、どんな入り口から入ろうとも、基本的に転職案件の紹介と応募へつながります。
そういう意味で、転職エージェントに対して、親身になって自分のキャリアプランを一緒に考えてくれることは過度に期待しない方が良いと思います。
3.転職案件の紹介と希望先への応募
エージェントの担当者との面談時、または面談後に
「現状の応募可能な転職案件です」
といって、求人シート(各エージェントによっては名称は異なる)を共有してくれると思います。
求人シートはたいてい2部構成になっていて、
- 対象会社全体の説明(会社名、住所、ビジネスの概要、従業員数、簡単な財務状況、等)
- 募集対象ポジションの募集要項(応募の条件、勤務地、職務内容、年収、等)
となっています。
応募の条件とは、そのポジションに応募するために応募者が満たすべき条件で、たとえば、FA業務の募集であれば、
- 証券会社でのカバレッジ経験
- 会計事務所出身の公認会計士
- M&Aその他プロダクトの業務経験者
等と記載されていると思います。
なお、応募の条件は完全に満たしていなくても書類審査が通ることはあるので、少しくらい足りない程度であれば積極的に応募した方が良いと思います(応募するだけならこちら側になんらデメリットはありません)
4.書類審査(履歴書及び職務経歴書の送付)
案件への申し込みは、基本的に転職エージェントの担当者が代行します。
なお、案件申し込みのためには、少なくとも
- 履歴書
- 職務経歴書
が必要となりますので、準備しましょう。
なお、質の良いエージェントの担当者であれば職務経歴書を修正してくれることもありますが、一般的には自分でしっかりと作り込む必要があります(エージェント側も同時に何人もの案件を抱えているため、そんなに懇切丁寧に指導できないのが実情のようです)。
5.面接(通常複数回)
書類審査に通ると、面接に進みます。
FAの転職の場合、筆記試験というのは基本的にないはずで、いきなり面接になるかと思います。
働きながらの転職活動ですと、なかなか面接が入りにくいということもあろうかと思いますが、なるべく幅広に対応可能な時間帯を提示するようにした方が良いと思います。
なお、ここでも質の良いエージェントの担当者であれば、応募先の面接官の特徴や、過去にオファーをもらった人の特徴を教えてくれることもあるので、担当者には積極的に応募先に関する質問をしていった方が良いと思います。
担当者自身がオファーまで持って行けたことがなくとも、エージェント内で情報共有がしっかりとなされていれば、オファーをもらいやすい人・対応についてコメントをもらえると思います。
6.転職の内定(オファー)獲得と条件交渉
どんな条件があるか
複数回続く面接を無事に突破できた場合、オファーレターを貰えることとなります。
オファーレターとは、企業による採用意向と採用条件が記載された書類です。
なお、採用条件には、勤務地、役職、給与、採用の期日等が含まれます。
したがいまして、給与の条件交渉をしたい場合には、早めに交渉を始める必要があります。
一般的には、オファーレター発行の前段階で、エージェントの担当者宛又は面接中に直接にオファーの条件を伝達されます。
交渉可能な条件は
ところで、交渉可能な採用条件は先ほど記載した条件のうち、
- 給与(ある程度のレンジで交渉できることも)
- 採用の期日(現職の引き継ぎを理由に1ヶ月程度の期日の後ろ倒しなら可能か)
の2つだと思います。
交渉が難しい条件
その他の条件は交渉するのは難しいまたは不可能だと思います。
たとえば、役職については、交渉は基本的に不可能と思った方が良いと思います。
例をあげれば、VPで採用されたかったのに、アソシエイト採用になっていたという場合があります。この点については、企業側は敢えて1段階落としたところからチャレンジさせてみて、パフォーマンスが良ければ翌年以降にVPに昇格させようと考えていることがよくあります。
なので、役職についての交渉はできませんが、今後の昇格の見通しといいますか、どのように頑張ればVPに昇格できそうかについては、確認できる場合もあるので、聞いてみるのもありかもしれません。
他にも、勤務地や配属先はそもそも採用の前提としてほぼ確定しているため、それを動かすのはほぼ不可能でしょう。M&Aのディールチームの中の特定の業種を希望したい場合なんかも、面接を受ける途上である程度主張はできるかもしれませんが、かなりハードルは高いと思います。
さいごに
転職を何回か経験すれば、このようなプロセスに慣れるものだと思いますが、初めての転職の場合には、そもそもどのように活動を始めたら良いかということから情報を集める必要があります。
今回の記事で、まずはプロセスの全体像を説明してみましたので、次回以降ではそれぞれのパートを深掘りした記事を書いていこうと思います。
(参考記事)