人間誰でもミスをします。どんなに気をつけていても、ミスがゼロになるということはないのではないでしょうか。
個人的にもジュニアの時代に何度が大きなミスをしてしまった記憶があり、その際に、当時のプロジェクトリーダーが謝っていた場面も併せて覚えています。
時が経ち、自分がプロジェクトのリーダーを担当するようになり、はじめてその当時の上司の気持ちが分かりました。と同時に、プロジェクトはその後も続くわけで、単なる謝罪だけではなく、その立て直しにも注力しなければならないということにも気付いたところです。
プロジェクトリーダー = チームの責任者
プロジェクトチームに自分より上が居ないという状況
以前も同じ話題を取り上げましたが、プロジェクトリーダーになると、チーム内には自分より上は居ません。なので、チームメンバーに方針の相談はするものの、最終的に決めるのは自分の責任となります。
(参考記事)
チームメンバーの失敗の責任を取るということ
プロジェクトが上手く回っているうちは、リーダーとしての孤独は感じたとしても、まあそれはそれで乗り越えるのはそんなに難しいことではありません。
ところが、最初の試金石はそんなに時間が経たずにやってくるわけです。
ある案件で、チームメンバーのジュニアが失敗をしてしまい、アソシエイトが相談に来るわけです。
「●●さん、いまこんな状況になっているのですが、どうしましょうか・・・」
プロジェクトリーダーともなると、複数案件を掛け持つことが多く、細かいDDのやり取りなんかを逐一おさえているわけではないので、気付いたら自分たちのチームメンバーの失敗により、案件が迷走しているなんてこともあるわけです。
チームとして失敗を認識した場合に・・・
まず考えること:容易に立て直しができるだろうか
チームメンバーから失敗した旨の相談を受けた場合、まずはその失敗の容易な立て直し方策があるかどうかを考えます。
つまり、理由は後付けになるかもしれませんが、
「自分たちの選択は全てが間違っているというわけではない」
と主張することを考えるわけです。クライアントからはFAはM&Aの専門家であると期待されているわけで、高い手数料も頂くわけですから、単に
「間違いでした、すみません」
と謝るだけなのはどうかというわけです。
もちろん後述するとおり、謝らざるを得ない場合には誠心誠意謝罪をするわけですが、クライアントへの持ち出し方やその後の対応方針を上手く設計すれば、謝罪よりも論点の早期確認ができたというメリットを強調できるというケースもあります(たとえば、クライアントとFAだけで初期的に論点整理をしている場面での誤解等の軌道修正が挙げられます)。
なので、ジュニアは失敗したと思っていても、案件の全体像から見たり資料上の表現を考慮すれば、比較的容易に立て直しが可能だなと思えば、早急にその部分の問題意識をクライアントと共有して、正しい道へ復帰することを考えるわけです。
イメージとしては「伝えにくいことこそ迅速に共有する」というところです。
立て直しが難しかったり、クライアントに迷惑が掛かる場合
とはいえ、失敗した内容によっては、どう頑張っても簡単には立て直しができなかったり、その後クライアントへ迷惑が掛かるようなケースもあります。
特に、FAの報告内容を踏まえて取引の相手方を含めて話が進捗していた場合で、その報告内容に誤りが混ざっていた場合等がこのようなケースになります(さらに、誤りの指摘を相手方のFAから受けたなんて場合は、最悪のケースになります)。
そのような場合、まずは早急に状況を整理し、どのような立て直しの方針があるのかを早急に検討することになります。
いずれにせよ、すぐにクライアントのアポを取って謝罪しに行くことになります。
すぐにアポが取れない場合には、電話で初期的に謝罪と今後の立て直し方針を伝えることもありますが、できれば対面で伝達した方が良いと思います。
謝るときは誠心誠意謝りますし、再発防止策と今後の方針を併せて伝達することになるわけです。
あまりにも話が大きな場合には、カバレッジバンカーとも事前共有をして、伝達方法と立て直し方針を一緒に検討することもあります。
謝罪というのはとても気の重くなる仕事ではありますが、逃げていても始まらないので、自ら切り出すのが仕事になるわけです。
単に謝罪をするだけでは済まない
なお、どのような場合でも、単に謝罪だけをすれば済むということはないと思っています。
ビジネスなわけですから、謝罪とそれを踏まえての立て直し方針はセットになるべきというわけです。
クライアントとしても、単に謝罪をされても、
「で、どうするんですか?」
と続けて確認するわけで、その際に
「今後の方針はこれから考えます」
では、FA失格の烙印を押されてしまいます。
なお、当たり前ですが、失敗の言い訳をしたり、チームメンバーに責任を押しつけるような発言をするなんてことはあってはなりません。
さいごに
プロジェクトのリーダーになるということは、自分が直接間違えたわけではない点についても責任をとるということです。
実際には、いつもクライアントファーストで一生懸命動いていれば、多少のミスが起きても許容して下さるクライアントも一定数いてくださいます。
それに甘えるということではありませんが、やはり常日頃仕事を通じて良い関係を構築しておくというのは必要だなとも感じる日々です。