引き続き、M&Aアドバイザリー(FA業務)の面接対策として、よく聞かれる質問の意図と回答方針の立て方について検討しております。
今回は第5回目の記事として、
- 「君が本当にやりたいことは何?」
という質問について考えてみたいと思います。
和気藹々の雰囲気になったところで・・・
面接は時間がかかるから・・・
M&Aアドバイザリーの面接は、1回につき短くても30分、長ければ1時間程度はかかると思います。
前半は志望動機の確認や現職の説明などをすることになりますが、それらの応答を経て、面接時間の後半にもさしかかると、比較的良い感じの雰囲気で色々と会話がなされることがあります。
その際に、面接官から、
「ところで、君が本当にやりたいことは何?どんなキャリアビジョンを描いているの?」
という趣旨の質問をされることがあります。
これに対して、良い流れなのもあって、本音ベースで答えてしまうと突っ込み所満載の回答になってしまう恐れがあります。
流れに飲まれてポロッと本音を言うと・・・
良くあるのは、
- PEファンドに行ってみたい
- 事業会社のM&Aチームに行きたい
- いつかは独立したい
という漠然としたM&Aアドバイザリーの仕事のEXIT後のキャリアビジョンを述べてしまうことです。
こうなると、面接官は基本的に「突っ込みモード」になると思います。
「あれ、先ほどまでの志望動機でM&Aのアドバイザリーの仕事をやりたいと言っていたけど、それと今のキャリアビジョンってどうつながるの?」
とか
「え、結局M&Aアドバイザリーの仕事ってキャリアのクッションにしか過ぎないの?」
とかいう突っ込みをされることになります。
こうなると和気藹々としていた雰囲気が一転、重く息苦しい雰囲気になることでしょう。
そのような状況に陥ってから、改めて志望動機と長期的なキャリアプランとの整合性をとった説明を組み立てるのは並大抵のことではありませんが、それをやってのけることができない限り、面接結果は芳しくないものに終わってしまうかもしれません。
ずっと御社で働きたいです!
一方で、本音ベースのキャリアビジョンを言うことにつきリスクを感じ取る方々の中には、過度に保守的な答え方として、
「採用していただけたなら、ずっと御社で働きたいです!」
と言ってしまう人が居ます。
正直に言って、個人的にはこの回答についてもどうなのかなと思います。
中長期的にM&Aアドバイザリーの仕事をしたいと思っている人を採用したいという気持ちはありますが、安易に「ずっと働きます!」という答えについても、
「ほんとうですか?(なんかマニュアル通りの答え方だなあ)」
と疑ってしまうからです。
そんな人には、
「もし、あなたがM&Aアドバイザリーの仕事をやってみて、どうしても自分に合わなかったとしても、それでもずっとその仕事をやるつもりですか?」
と聞いてみたいところです・・・。
比較的印象の良い回答(案)
それでは、どんな回答であれば面接官の印象を良く保てるのでしょうか。
面接官次第でどのような回答を評価するのかは異なりますが、個人的には次のような回答が望ましいと思います(FA業務を未経験である前提で例を挙げます)。
- まだ実際にはM&AアドバイザリーのFA業務をしていないので、確定的ではないものの長期的に仕事をしたいと思っている
- 自分にFA業務が合うかどうかは分からないが、●●という状況を考えれば、自分にはできるとの自負もある
- 一方で、超長期的に自分がどのように判断を変えていくのかは分からない。なぜなら、実際に、FA業務を通じて色々な経験をすることで気持ちは変わっていくと思うからである
- でも、スタンスとしての「アドバイザリー業務」について、今後もずっとそのような仕事を続けたいと思っている
- というのは、自分には当事者そのものになるよりも、第三者的な視点で助言をする方が性に合っていると思うからである
という具合に、「比較的長く働きたいとは思うが、すごく長い目で見たときにずっとこの仕事それ自体をやるかどうかはわからない。」という感じの飾らない答えによって、
「この人は本音を上手く語れるひとだな」
という印象を面接官に与えることができると思います。
さいごに
要は、印象の良さそうな答え方というのは、嘘を言わず、わからないことまで今の段階で決めつけず、分からないものは素直に分からないと言えることだと思います。
その前提で、M&Aアドバイザリーの仕事が自分の長期的なキャリアにとってどのような位置づけにあるのかを説明すれば十分だと思います。
(次回の記事)
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