前回はFA業務への未経験の転職は30歳までが限界なのかについて見てみましたが、今回は、FA業務のエグゼキューションは40歳までが限界なのではないかということについて考えてみます。
(参考記事)
案件を取ってこれない40歳Overのディレクターは・・・
冒頭からセンセーショナルな物言いですが、投資銀行(証券会社)の40歳以上のディレクターで案件を取ってこれないディレクターは肩たたきの対象になり得ます。
どれだけ案件創出に貢献できるか
もちろん、大多数の日本の証券会社のM&Aバンカーはカバレッジバンカーと分業されているため、完全にオリジネーションに特化するわけではないですが、優秀な40歳以上のM&Aバンカーはカバレッジと協働して新規案件獲得に奔走しているように思います。
そして当然ながらM&Aバンカーとしてエグゼキューションにも関与しますが、それは上位者としての判断・意思決定の部分がメインであり、日々の案件遂行はVP以下に任せることが多いようです。
仮に、ディレクターが提案書やValutionモデルをスクラッチから作っていて、オリジネーションに関与していないのであれば、それは組織としての損失です。といいますのも、投資銀行によってどのような人材をディレクターに昇格させるかの基準は異なりますが、一般的には案件獲得機能を期待しているはずだからです。
なので、そのような組織からの役割期待に応えられないのであれば、早晩肩たたきの対象になっても文句は言えないのではないかという問題意識です。
ずっとVPで良いからエグゼキューションだけでお願いします
人には向き不向きがありますので、与えられた案件を着実にこなすことは得意だというタイプの人が居ることは間違いないです。
ゆえに、仮に、
- 「ディレクターに昇格しなくていいから、エグゼキューションだけでお願いします」
と主張される方がいても、それは選択肢としてはないわけではないと個人的には思います。
そうは言っても、案件のヘッドに立ちエグゼキューションをリードする能力と案件を創出する能力にはある程度相関関係があるように感じます。
なので、エグゼキューションだけをやりたいという人は、「ジュニアワークだけやらせて欲しい」ということを言っているのかもしれません。
それなら、VPといわずに「アナリストで良いから」と言うべきかもしれませんが・・・。
ジュニアの能力はやっぱり若い人の方が高い
でも、ジュニアの能力は年々向上傾向にあり、Valutionモデルやパワーポイントの資料作成は、どんどん効率化されまた見た目も綺麗になっています(幼少の頃からパソコンやスマホを触ってきた世代の方がPCスキル一つとってもキャッチアップは早い傾向にあります)。
仮にシニアがジュニアワークをやろうとしても、新しい作業環境についていけずに弊害がでるかもしれませんし、ジュニアから見たら
- 「なんでこの人はシニアなのにずっとジュニアワークしてるんだろう?」
と思われることでしょう。
そして、40代の人が毎日徹夜に近い状況でジュニアの仕事をしていたら本当に寿命が縮んでしまいますから、本人にとってもそれは不幸な働き方です。
いま30代の人こそ気をつけておきたい
組織としては、人材の最適配置をしたいところですので、シニアにはやはりシニアとしての仕事をしっかりとこなして欲しいと思うところでしょう。すなわち、ディレクターになって40歳も超えたのであれば、新規案件を創出するという役割を期待するわけです。
いま30代半ばで案件を取ってくるという動き方をしていない人こそ、今後の働き方につき注意した方が良いと思います。数年したら案件を取ってこれないと居場所がなくなってしまうかもしれません。
どうすれば案件がとれるのか
では、どうやったら案件を取ってくることができるのでしょうか。
残念ながら、これを一般論で語ることはできませんが、方針はあります。
要は、自分の上の人たちがどうやって案件を創出しているのかをよく観察することです。そして、それを徐々に真似ていくことです。
なお、真似る際には自分の性質(キャラクター)に合った方法を模索するというということも大事なことだと思います(例を挙げると、お酒が不得意な方が毎日宴席を組んでお客様と仲良くするということを真似すると寿命が縮みますので、そのような場合には自分に合った別の方法を採っている上司を見つける必要があります)。
ものの本なんかによく書かれていることですが、
といわれたりします。
なので、自分の上の人たちの仕事のやり方を見て、上手く盗んでいくことが重要だと思います。
さいごに
40歳ちょうどでエグゼキューション能力が陰ると言うことではなく、おそらくはオリジネーションと両輪で動くことによってエグゼキューションの判断力にも磨きがかかっていくのだと思います。
なので、自分のエグゼキューション能力をいつまでも研ぎ続けるためにも、エグゼキューション一本足打法で居るのはビジネスパーソンとしての衰退に至る選択かもしれないという危機感をもっておきたいものです。