週刊M&Aバンカー第13号:友好的ではない面接官にどう対応するか

週刊M&Aバンカー
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秋の気候は一雨ごとに気温が下がっていくのが特徴のようです。今週もまた一段と寒くなりましたね。

さて、今週の週刊M&Aバンカー(第13号)は、

【M&Aとキャリア】友好的ではない面接官にどう対応するか

です。

【M&Aとキャリア】友好的ではない面接官にどう対応するか

M&Aアドバイザリー業界にも、いわゆる圧迫面接まではいかないものの、対応が友好的ではない面接官というものが新卒・中途採用問わず一定数いるようです。

この業界の会社を複数社受けたことのある方は、どの会社にどんな感じの面接官がいるのかはなんとなく覚えていらっしゃるかと思います。もちろん、ある会社の複数の面接官の全員が感じ悪い系ということはなかったかもしれませんが、何人かの面接官とのやり取りが友好的では無かったな、でもなぜか無事に面接通過したな、という経験もあるかもしれません。

(なお、具体的な個別に社名を出して述べるのは控えたいので、引き続き一般論で話を進めます)

なぜ友好的ではない面接官がいるのか?

そもそもなぜ友好的ではない面接官がいるのでしょうか。巷でよく言われる理由は、

あえてストレスをかけられた状態になってもらい、素の対応を引き出す

といった感じです。

人間誰しも、ストレスをかけられた状態では平常時とは違った対応をしてしまいがちです。

仕事をするということは往々にして平常心ではいられないような状態に直面してしまうこともあり、そのような環境下でどういった対応ができるのかを見極めたいという意図があるのだと思います。

それは必要悪なのか?

他の仕事の実情はわかりませんが、FA業務に限ってみても、クライアントや相手方のFAとのやり取りの中で相応のストレス状態に陥ることがあります。

また、上司(先輩)による指導(レビュー)として、一定程度厳しい物言いがなされることもファームによってはあるかもしれません。

入社後に、そのような場面でいきなり心が折れてしまうならば、お互い不幸だよねということで事前にストレス耐性を見ておきたい、そういう趣旨なんだと思います。

個人的には、FA業務という性質からそのような面接手法を取り入れるファームがあることに一定の理解はしますが、自分ならそのような手法は使わないかなとも思います(それは後述します)。

友好的ではない面接官のタイプ別対応方針

ここからは友好的ではない面接官のタイプ別対応方針を考えていこうと思います。

1. なぜなぜ系

まずはなぜなぜ系面接官です。このタイプの面接官は、こちらが質問に答えても、ひたすらになぜなぜを繰り返してきます。

例を挙げてみますと、

M&Aをやりたいです。

(面)なぜ?

●●だからです。

(面)●●ということが志望動機につながるの?

■■という側面からです。

(面)■■といっても、かならずしもM&Aじゃなくてもいいよね。そもそも現職を辞める必要ないんじゃない?

・・・

という感じで、ひたすらに「なぜ、どうして」を連発してくる感じです。

相手によっては、物言いは友好的でも、このなぜなぜ系に分類できる面接官もいるでしょう。

このなぜなぜ系の面接官が何を思ってこのような対応をするのかと言えば、

この人物がどこまで深く考えているか?

を知りたいから、と言えるでしょう。

志望動機ひとつ取ってみても、なぜの繰り返し1往復で済んでしまうような、軽い(浅い)志望動機ではなくて、もっと深いところで何を考えてこの仕事をしたいと思っているのかを知りたいからこのような対応をするわけです。

このタイプに対してまっとうに対応するならば、相手の質問の前提とこちらの会話の前提を揃えるところから始め、そして、1問1答形式ではなくて、丁寧にこちらの意図を伝えるようにすると良いでしょう。

ただし、なぜの理由は突き詰めていくと、

私はそう思うし、そうしたい

という「意思」に至ってしまいます。

仕事ですから、意思・やる気があるだけではだめで、そのための能力も一定程度ありますよという具合に、なぜの理由の合理性を説明できる必要があります。

この辺りの話は、M&Aの志望動機を考えてみようという記事でも詳しく述べていますので、あわせてご覧ください。

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2. 態度悪い系

次に態度悪い系面接官について考えてみます。

態度悪い系とは、足組み腕組みでこちらと視線を合わせずにまたは睨む感じの威圧的な態度で対応する面接官です。

また、相手方の対応として、こちらが何を言っても

「ふーん」、「へー」

といった無関心な態度でいるなんていうのもあり得ます。

個人的には、このような面接手法に何の意味があるのか不思議ですが、時々見かけるタイプです。ただし、単に感じ悪いタイプというよりは、一般的に他の感じ悪いタイプと合わせ技となっているケースが多いです(感じ悪くなぜなぜ聞いてくるとか、感じ悪く否定しかしないとか)

このような面接官に出会した時の最善の対応は、

相手の態度で心を揺さぶられない、相手の言葉のみに注力する

です。

相手が不機嫌そうに見える理由は、こちらから推し量っても分かりませんし、もしかしたら、

  • 面接として試しているだけ
  • その人の素の対応(ちょっとサイコパス)
  • たまたま今日は不機嫌

といった理由なのかもしれませんが、理由はどうであれ面接官も仕事として面接しているわけですから、適当な評価をすることはないだろうということで、こちらとしては必要な対応を淡々としていくに限ります。

すなわち、相手の不機嫌ペース・態度悪いペースに合わせず、相手を否定することもなく代わりに迎合することもなく、着実に必要な回答をしていくに限ります。

3. 否定系、怒鳴る系

最後に、否定しかしてこない系と怒鳴る系について考えてみます。

個人的には、否定しかして来ない系と怒鳴る系ばかりの面接官が出てきた会社には採用の内定をもらっても行かないかなと思います。

たしかに、FA業務をしていく中では、クライアントから不合理に怒鳴られたり相手方FAにひたすら否定されるということは(あまり多くはないですが)あり得ますので、その時の対応力を見たいという観点では確かにあり得なくもないかなとは思います。

しかしながら、普通は採用を受けている方は、ジュニア枠として採用されることが前提でしょうから、そのようなジュニアが採用直後に対外的な最前面に出るということは想定しにくいわけで、否定のみ・怒鳴るということへの対応力を見ることにはあまり実質的な意味はないと思います。

また、昨今のコンプライアンス重視の風潮から、否定はさておき、怒鳴るというのは完全にパワハラになってしまいます。そのような環境下でも、面接官が怒鳴ってくるような会社は(たまたまその面接官が特殊なのかもしれませんが)、ひとり怒鳴り系がいたら30人いるかもしれないと思って、慎重に考えた方が良いでしょう。

本当にこわい面接官

ここからは少し着眼点は変わりますが、面接において本当にこわい面接官はどういうタイプなのかを考えてみます。

それは、体験ベースでも、

友好的かつ冷静にこちらの弱点(準備不足・知識不足)を突いてくる面接官

です。

個人的には面接官をやってほしいと言われたら、間違い無くこのタイプを演じます。

無駄にストレスをかけることなく、むしろリラックスしてもらって饒舌になってもらう中でも言うべきことと言う必要がないことを冷静に峻別できるのかを見極めたいからです(これが、先ほど述べた友好的ではない面接官を演じない理由となります)。

実際のFA仕事としても、普通はお互い敬意を持ちながら進めることになるわけですから、そのシチュエーションと合わせて対応力を見る方が適切だと考える次第です。

友好的であっても内定をくれるわけではない

印象論ですが、FA業界でも8割型の面接官は友好的な方だと思います。

でも、その友好的な面接官が必ずしも採用内定をくれるわけではありません。場合によっては、すごく面接はうまくいったはずなのになぜか落とされたなんてこともあるでしょう。

そのような場合、おそらくは面接官が突いて来た核心的な質問にうまく答えられなかったことが落とされた理由なんだとは思います。

それでもって、さらにおそろしいのは、そういう友好的な面接官は相手の答えが満足いくものでは無かったとしても、笑顔で

「そうなんですね、よくわかりました」

という具合にニッコリと微笑んでくれるわけですから、いよいよ何が不味かったのか受けている側からは振り返ってもわからない(思い出しても致命傷が何だったのか不明となる)わけです。

準備不足、知識不足の部分を回答するときは要注意

そんなわけで、受け手側でできることがあるとすれば、

準備不足・知識不足の部分につき回答する時、念には念を入れること

しかないわけです。

たとえば、知識不足の論点について説明してほしいと言われた場合、その論点が3つのはなしにわけられるとして、最初の2つはわかっているけれども最後の1つにつき少し自信がなければ、

「その論点は3つの部分に分かれると思いますが、A、Bは自信がありますが、Cについては少し理解不足の点があるかもしれませんので、可能な限り説明しますが、後日改めて調べておきます。」

という前振りをしてから説明することが一つのやり方だと思います。

その他にも、面接官のしつもんがやや曖昧であったならば、質問の意図を確認してから述べるとか、論点を構造化して話すとか、こちらとしてもできることは何でもやっておく必要があります。

(ご参考)

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FAの仕事も必ず免責事項をいれるわけで・・・

FAの仕事は会計税務や法規制の論点をクライアントに説明することは日常茶飯事なわけですが、何の説明も必ず、

「具体的には弁護士等専門家に照会してほしい」

旨の免責的物言いを(どこまで明示するかはさておき)することになります。

もちろん説明・資料は万全を期して作りますし、そのほとんどのケースでは間違っているなんてことはないわけですが、業法上の観点でもFAが申し上げる内容は「参考情報」でしかないわけです。

また、資料を準備していない場面で

「初期的な見解ですが、、、・・・という認識ですが、具体的には持ち帰って調査し改めて報告します。」

という具合に求められた論点につき、その場で裸一貫で説明をしなければならない場面もあり得ます。

面接で準備不足・知識不足の論点を回答する場面はまさに、FAとしていつか同じようなシチュエーションが訪れるはずですから、その時の対応力を見るという観点でとても重要なわけです。

さいごに

いつかの記事でも書きましたが、面接の趣旨は、その人物がこの仕事をやっていけるのかを見極めることです。

なので、面接の受け手からすれば、

私はこの仕事をやっていくために必要な意思、能力が十分にあります

ということを合理的に説明するに尽きるわけです。

そのためには、友好的ではない面接官であっても、こちらのペースを乱すことなく、冷静に淡々と対応していくことが間違いない戦略です。

そして、冷静さというのはFA業務を続けていくために必要不可欠な資質であると考えているところです。

 

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