未経験者がM&Aアドバイザリーの仕事(FA業務)へ転職する戦略を立てよう

M&Aとキャリア
この記事は約9分で読めます。

今日はM&Aアドバイザリーの仕事(FA業務)の未経験者がどうすれば転職に成功できるのかを考えてみようと思います。

先日の記事の続きなので、先に次の記事をご覧いただくと理解が一層深まると思います。

(参考記事:FA業務の説明〜M&A業界をマッピングしてみた

Financial Advisory(FA)業務の説明 〜M&Aアドバイザリー業界をマッピング〜
今日は、M&Aアドバイザリー業務(FAの仕事)をしようと転職を検討している方向けに、M&Aアドバイザリー業界のプレーヤーの位置づけのイメージなどを説明をしてみようと思います。 ところで、M&Aの仕事をやりたいと...

M&Aアドバイザリーファームのカテゴリ別の未経験者採用スタンス

外資系と日系証券及び銀行

外資系と日系のいずれの証券会社も、その応募者によほどの材料がない限り未経験者を採用するという可能性は低いと思われます。といいますのも、最近の転職市場はFA業務の経験者が多くなってきており、経験者 or 未経験で比較すると、企業側としては経験者を優遇する傾向にあるためです。

ただし、日系の証券会社では、若くてポテンシャルのある方なら、若干数のようですが、未経験でも継続的に採用がなされているようです。

なお、銀行はプロパー主義なのもあって未経験者を採用することは基本的に少ないようです。

ということで、「未経験だけど、どうしても投資銀行で働きたいんだ!」という方は、それなりの戦略を立てて動く必要があります(くわしくは、この記事の後半で検討します)。

会計事務所(Big4及び中堅の会計事務所)

会計事務所のFA業務を扱っている会社は、証券会社よりは未経験者への敷居が低い印象です。

特に公認会計士の資格を持っている優秀な若手の場合には、ポテンシャル採用をしてもらえる可能性があると思います。

なお、会計事務所にエントリーする際には、DD業務ではなくFA業務を希望しており、採用もその枠になっていることを念のため確認した方が良いと思います。

特に監査しか経験してない若手の会計士の方が転職する際に、転職エージェントから、

「まずは、DD業務からはじめて、タイミングが来たらFA業務もできるようになるポジションらしいですよ」

なんて言われたとしても、それを鵜呑みにしない方が良いと思います。

そもそも、いつがその社内異動のタイミングなのかわかりませんし、会計DDのスキルはFA業務に求められるスキルとはだいぶ異なるので、キャリア形成としても時間の無駄になってしまうかもしれません

(「社内異動の可能性もあり」という話は、人手が欲しいDDの部署が使う都合の良い宣伝文句 & 転職を成立させてなんぼのエージェントの意向がマッチしているだけなので、それは割り引いて考えるべきです)。

独立系

独立系は、未経験に対する敷居が一番低い印象です。

もちろん、独立系も即戦力を求め経験者を優遇したいというインセンティブはありますが丁稚作業をこなしてくれるという前提で未経験枠というものがあるように感じています。

未経験者が採るべき戦略

このように、正攻法で真正面から未経験者がM&Aアドバイザリーの仕事をやろうと転職活動をしても、上手くいくケースというのはそんなに多いわけではありません。では、どのような戦略を採れば良いのでしょうか。

(1)MBAをとる

(i)海外MBA

以前ほどではないにしても、やはり海外MBAのお墨付き効果はすごいものがあります。

特に27歳前後の若手の時代にMBAを取れたなら、転職活動ではかなり有利に進められると思いますし、現状のような好景気ならば引く手あまたも夢ではありません。

ただし、MBA取得コストはとても高いので現実感はあまり高くはないかもしれません。

(ii)国内MBA

海外のMBAはハードルが高いので、代わりに日本のビジネススクールの夜間講座等で働きながらMBAを取るという選択肢があります。

私はビジネススクールに行ったことはないので、その転職時の正しい評価はわかりませんが、証券会社のM&Aアドバイザリーのプロダクトチームを見ても、日本のビジネススクールでMBAをとったという人はほぼ見たことがないというのが実情です。

これは、やはり日本の資格ではインパクトが弱いのと英語環境に居たことにならないというのが大きなデメリットだと感じます。

最近の証券会社のアドバイザリーのプロダクトチームは各社とも英語でディールがこなせる人材を欲しがっており、それを担保できない日本のMBAは海外MBAに劣後してしまいますので、別の方法で英語ができることをアピールする必要があります。

(2)公認会計士 または USCPAの資格を取る

(i)日本の公認会計士

資格という意味では、採用する企業側から見ますと、MBAと並んで日本の公認会計士も応募者が持っていると嬉しい資格です。すなわち、転職市場において価値が認められている資格のひとつといえます。

特に、30歳未満の若手の公認会計士ならば未経験でも、投資銀行での書類審査も通りやすいと思いますので、あとは面接で上手く立ち回れば内定をゲットできるでしょう。

いま学生の方ならば、将来の可能性を拡げるという意味で、公認会計士の資格取得に励むのも良いと思います。

しかし、既に社会人になっている方が、FA業務をやりたいから、まずは公認会計士の資格を取ろうというのは少し遠回りな気がします(公認会計士はあくまでも監査という独占業務のための資格であり、FA業務において資格は特に必要ではありません)。

資格取得のための勉強内容もFA業務に全く関係ない分野もあります。さらに、勉強時間も社会人として働きながらこなすというのはかなり厳しいものがあると思います(大学生が1日中勉強する生活を1年〜2年続けてようやく合格できる資格であって、日中は会社で仕事をしている社会人が働きながらとなると、とてもハードルは高いです)

なので、FA業務がやりたいのであれば、ストレートにFA業界に転じるとか、海外または国内のMBAを取るという選択肢の方をおすすめします。

(ii)USCPA(米国公認会計士)

日本の公認会計士を働きながら取得するのは難しい、という理由で特に社会人の方が米国公認会計士を取ることを検討されることもあるようです。

ただ、正直なところ転職市場において、この資格がどこまで評価されるかは謎だと思います。

もちろん、一定程度の評価はあると思いますが、日本の会計士よりは簡易な試験だというのは採用側はわかっているので、この資格を主たる武器にするというよりは、武器の一つにするというイメージの方が良いかと思います。

(3)まずはカバレッジチームでの経験を積む

(i)カバレッジチームの丁稚として

証券会社のM&Aアドバイザリーのプロダクトチームではなく、カバレッジのチームに中途採用で採ってもらうというアイディアがあります。カバレッジチームはM&Aのプロダクトチームよりは求められる専門知識が浅く広くとなるため、未経験でも優秀さをアピールできれば採ってもらえることがあります。

運良くカバレッジチームに採用されても、最初はクライアントは持てず、カバレッジバンカーへの丁稚奉公(言い方は辛辣ですが、雑用係からスタートが大半です)からスタートだと思いますが、その時代を最大限に活用するのが大切です。

まず、提案書作成のための諸々のデータ取得といった、雑用みたいな仕事が多く待っていると思いますが、それをさっさとこなしてしまい、もっと面白いM&Aスキームの提案の部分にも携われるようになりましょう。

また、実際に提案段階で携わった案件がディール化したならば、引き続きディールフェーズでも手伝いますとか言って、そのメーリングリストに入れてもらったりしてM&A実務に触れてみるのも大切です。場合によっては、各種インタビューセッションの議事録係として案件に呼ばれるかもしれませんし。

なお、カバレッジバンカーの中には、ディールフェーズになったらノータッチの人も居れば、いろいろとサポートしてくれる人も居ますが、ここは自分の上司が引き続きサポートする型の人物であるのを祈るのみとなってしまいます。

いずれにせよ、カバレッジチームの中であっても上手く動いてM&Aのディールにことあるごとに触れていき、M&A実務に慣れていきましょう。

(ii)カバレッジチームからM&Aプロダクトチームへ異動する

ケースとしては多くないですが、カバレッジチームからM&Aアドバイザリーのプロダクトチームへ異動することも理論上はあり得ます。

もし、上司に恵まれたなら、「優秀なカバレッジバンカーになるためにプロダクトも経験しておきたい」とアピールすることで、場合によっては社内異動が許可されることもあります。

(iii)他社のM&Aのプロダクトチームへ移動する

そうは言っても、基本的には優秀な人材であるほど自分の許に抱えておきたいのが人間ですので、社内異動はハードルがかなり高いと思います。

そんな時こそ転職活動をして他社のM&Aのプロダクトチームへチャレンジしてみるときかもしれません。

中途採用の応募の際には履歴書と職務経歴書を添付しますが、その中で、

「自分はカバレッジチームに居たが、M&A案件についてもこのような形で関与してきた。・・・これからはより専門の立場でM&Aアドバイザリー業務に携わりたい」

といった感じで、しっかりと自己アピールすることで書類審査を通過する可能性は高まるでしょう。

(4)採ってもらえた会社でM&Aアドバイザリーの仕事をはじめる

個人的には、これが一番の近道だと思っているのですが、自分が納得できるレベルの会社からオファーをもらえたなら、まずはその会社で実際にM&Aアドバイザリーの仕事をはじめてみるのが、M&Aアドバイザリーのキャリアを磨く一番の方法だと思います。

一定以上のM&Aアドバイザリーファームであれば、扱っている案件の規模は違っても実務の内容はあまり変わりませんし、必要とされる知識と身につくスキルもほぼ変わらないでしょう。

中堅クラスのM&Aアドバイザリーの会社で数年経験を積んで、ステップアップとして証券会社のアドバイザリーファームへ転職することになると思いますが、しっかりと実務経験をアピールすることで採用される可能性は十分にあると思います。

ただし、M&Aアドバイザリーの会社と言っても、中には単に仲介(案件のマッチング)だけして、案件遂行(投資銀行的なFA業務)をほとんど扱わないような会社もあります。

そのような会社にいてもM&Aアドバイザリーのスキルはあまり身につかないため留意が必要です(転職前に、その転職先が想定通りのFA業務をしているのか、何らかの方法で確認するのが大切です)。

さいごに

このように未経験者であっても、うまく戦略を立てればM&Aアドバイザリーの仕事でキャリアを形成していくことができると思います。

今の自分を冷静に分析して、どんな道が良さそうか検討してみると良いと思います。

なお、次の記事では企業側の目線で、どんな人を採用したいのかを考えてみましたのであわせてご一読いただければ幸いです。

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