週刊M&Aバンカー第36号:その案件の担当にはもっと適任がいたのでは

週刊M&Aバンカー
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いよいよ4月に入りましたね。

真っ新なスーツを着て新品の鞄をもっている若い方を電車でたくさんお見かけしたので、おそらく今日から社会人1日目なんだろうなと思ったところです。

自分が社会人になった1日目はもう●●年前ですが、過ぎてしまえばあっという間です。

皆さまのキャリアに幸多からんことを。

さて、今週は、

【M&Aとキャリア】その案件の担当にはもっと適任がいたのでは

です。

軽く読んでいただきたい話題なので、いつもの先輩と後輩の対話記事にしたてております。

(文頭のマークが◆◆→先輩、◎→後輩 です)

【M&Aとキャリア】その案件の担当にはもっと適任がいたのでは

はじめての主担当案件が無事にクローズした後輩であったが・・・

◎先輩、こんにちは。先日、担当していた案件が無事にクロージングを迎えまして。

◆◆おお、おめでとう。確か、はじめてプロマネ直下の主担当として案件をまわしていたんだったよね?

◎ええ、そうです。比較的任されるシチュエーションが多かったので、しんどい場面も多かったんですが、だいぶ勉強になりましたね。

◆◆それはよかったね。ブレイクした案件から学べることも多いけど、成功した案件というのは勉強になりかつ、自信にもつながるから。なにはともあれ、良い経験だったようでなによりだ。

◎ありがとうございます。ただ、喜ばしいのは間違いないんですけど、ふと思ったことがありまして。

◆◆ん?何を思ったのかな?

その案件の担当にはもっと適任がいたのでは

◎案件において私が活躍できた場面はそれなりにあったとは思うんですよ。でも、それってもしかしたら他のFA(同僚・先輩・他社のFA)であれば私よりももっと上手く立ち回れた可能性があったとも思うんですよね。

◆◆ふむふむ。

◎いちど、そういう思いに取り憑かれてしまうと、自信というよりも反省点にばかり目がいって、ちょっと凹むところもあるわけですよ。

◆◆なるほどね。その悩みの答えになるかどうかはわからないけども、僕も同じようなことを思ったことがあるからちょっと気持ちはわかるんだよね。

◎そうなんですか? その際に先輩はどうやってこの気持ちと折り合いをつけたんですかね。

別の誰が担当した世界を見ることはできない

◆◆たいしたことじゃないんだけど、君の思うところの「もしかしたら他の人が担当した方が上手くいったかもしれない」というのは、この世界(パラレルワールドの意味合いでの「世界線」)において検証することはできないっていうことで折り合いをつけたんだよね。

◎といいますと?

◆◆たとえば、我々のこの世界をA世界として、仮に別の世界をB世界としようか。こんな感じ。

  • A世界:君(後輩氏)がα案件を無事にクローズさせた
  • B世界:他のX氏がα案件を無事にクローズさせた

という仮定を置いたとしても、我々A世界の住人にはB世界を窺い知ることはできないよね?

◎それは当たり前ですね。

◆◆仮に「神の視点」というものがあって、A世界とB世界を同時に見渡すことができれば、君とX氏のいずれが良いアドバイザーだったのかという比較ができるのかもしれないが、少なくとも我々の知ることのできる中でそのような神の視点をもった人物などいないよね。

◎ええ。

◆◆ということは、要は君が「もしかしたら、他の人の方が上手くできたのかもしれない」というのは妄想であって、現実には、

君 が 関 与 し て そ の 案 件 は ク ロ ー ズ し た

という事実があるだけで、それ以上でもそれ以下でもないよね。この世界に”そうじゃない結末”なんて無いんだ。

さらに、他の人物を探し出すコストという概念もあるかもしれない

◎なんか狐につままれたような気分ですが、地に足をつけてといいますか、冷静に考えると先輩のおっしゃる解釈もアリですかね。

◆◆もちろん、これは僕が思いついただけだから、君は君なりにその気持ちとどう折り合いをつけるかは考えた方が良いとは思うんだけどね。

◎わかりました。

◆◆ちなみに、ちょっとFAの世界とは違うんだけどこの前Twitterでこんなツイートをしているひとを見つけてね。

TANAKA U ゲーム系フリーランス@TANAKA_U
昔「クリエイターとして自分の代わりはいくらでもいるんじゃないか?」って疑問を持ったことはあった。今は「代えがいくらでもいるのが大前提」であって、迷うような事ではないと思ってる。
ただし、代えを探すのには必ずコストがかかる。「代えを探すのがちょっと面倒」なぐらいで、十分食っていける
午後11:31 · 2021年3月27日·Twitter Web App
https://twitter.com/TANAKA_U/status/1375817795921793029?s=20

◎なるほど、これも含蓄がありますね。

◆◆1.3万も「いいね」が付いていたからね。

◎そうなんですね。

◆◆代わりはいくらでもいる、だけど、それを見つけるコスト、さらに代わりの者に払うコストを鑑みて、現実として代わりを選ぶ人がどれだけいるかっていう話だと解釈したところだよ。

◎なるほど。私よりも上手くできるFAがいるかもしれないけど、

  • そういう人を探すコスト(探せないかもしれない)
  • その代わりのFAに払うコスト(我々の手数料よりも相応に高いかもしれない)

とか考えると、私が担当するというのがいずれにせよ、「ベターな解」であったかもしれないというわけですね。

謙虚さも大事だが・・・

◆◆案件を担当する中で、「もっとこうすれば良かった」と思うところを謙虚に反省して次に活かすのは大事な視点だけど、単に縮こまっているだけではダメだよね。

◎そういうもんですか。

◆◆クライアントはFAに高い手数料を払っているわけで、担当者が

  • いつも自信なくうつむいている
  • 適度な自信があってハキハキと対応してくれる

の2択であれば、後者の方が良さそうじゃない?

◎言っている内容が同じでも、自信なさそうに言われると「本当かな?」と疑われかねないかもしれないですし、そうかもしれませんね。

◆◆間違ったことを言わないのは当然として、誰がどういう風に言うかというのも、この仕事をしていると案外大事だったりするからね。正しく、自信をつけたいなら、案件をクローズさせてしっかりと結果を出すしかないわけさ。

さいごに

他のFAだったらどうだっただろうか、という反省点を見つけるのは大事ではありますが、過去は糧として次に活かしてこそだと思うところです。

クヨクヨと悩むことに時間を使うくらいなら、目の前の案件、そして次の案件で工夫できるところがどこかにないかと考えた方が、クライアントのためになるのではないでしょうか。

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