週刊M&Aバンカー第55号:DD検出事項のValuationにおける扱い

週刊M&Aバンカー
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梅雨に逆戻りのようですが、前線の名称は”秋雨前線”になっているんですね。

さて、今週は、

【M&A講座】DD検出事項のValuationにおける扱い

です。

(いつもの先輩・後輩の対話で進めていきます。文頭のマークが◆◆→先輩、◎→後輩 です。)

【M&A講座】DD検出事項のValuationにおける扱い

案件が立て込み複数のDD報告会に参加している後輩ですが

◎先輩、こんにちは。今日は、デュー・ディリジェンス(DD)の検出事項をValuation上、どのように反映させるべきかって話に付き合ってもらえますか?

◆◆いいよ。

◎最近いくつかの案件のDD報告会が続いておりまして、その検出事項を数値的に反映させるのも私の仕事だったりしますから大変なんです。

◆◆ジュニアの重要な仕事のひとつが「DD検出事項のValuationへの適切な反映」だから、そこは頑張ってもらわないとね。

どんなDDが実施されるか

◎はい、承知してます。ちなみに、DDと言っても、ビジネスDD、財務DD、法務DD、環境DD、さらには人事DDとかもあったりしますよね。

◆◆そうね、財務(税務)・法務は必須だし、環境も工場があれば少なくともフェーズ1(書面による調査)くらいまではやるよね。

◎人事DDを弁護士とは別の業者を使うかとかビジネスDDのためにコンサルを起用するかとかいうのはケースバイケースですけれども、最近はコンサルを用いた人事DDやビジネスDDの報告会に参加するケースも増えてきましたね。

◆◆いわゆる「業者」としても売上を立てるべく、いろいろ工夫してお客様に各種DDの重要性をアピールしているんだろうね。

DD検出事項のValuationへの反映方針

◎Valuationへの影響するという意味ではどの種のDDでも検出事項の取り扱いは大きくは3パターンに分かれると思うのですよね。

◆◆ふむふむ、つづけてみて。

◎はい。検出事項の取り扱いは以下の3つだと思うのです。

  • ワンタイムのインパクト(主に純資産への影響)として考えるもの
  • 毎期のPLへのインパクト(将来損益へのインパクト)として考えるもの
  • バリューに何らの影響を与えないと考えるもの

◆◆なるほどね。それぞれについて、具体例はどんな感じになるかな?

◎1つ目のワンタイムのインパクトは、繰延税金資産の回収不能額、滞留債権の回収不能額、退職給付の積立不足、登記等の誤謬を是正する費用とか、あとはスタンドアローン・イシューへの対応のうちBS的な要素のものですかね。

◆◆そうだね。

◎2つ目の毎期のインパクトがある項目としては、未払賃金(未払残業)の問題や会社負担の社会保険料の不足やスタンドアローン・イシューへの対応のうち毎期のPLへのインパクトのあるものとかですかね。

◆◆未払賃金の問題は、一見するとワンタイムのインパクトに思えるけど、事業計画の前提が、賃金不足ベースのままとなっている場合、将来の毎期のPLにインパクトがあるよね。

◎そうなんですよね。しかも、そのValueを永久還元で求めると、結構な金額になりがちです。後輩がValuationへ反映させるときに、

未払残業は最大2年分だから、デットライクアイテム的に2年分の未払残業をValueから控除する

という誤解に基づく処理をしているケースもあったりしますから注意が必要ですね。

◆◆うん、その点には留意しないとね。

◎最後の3つ目はバリューに影響しないものですけど、投資有価証券の減損不足や固定資産の減損不足といった資産の評価に関連するものが多いですね。

◆◆減損不足は会計上は重要かもしれないけど、Valuationにおいてはそうとは限らないかもね。ただし、投資有価証券を非事業用資産(キャッシュライクアイテム)として簿価評価している場合は、その回収可能額を正確に価値に反映させるために、財務DDの検出事項を吟味する必要があるかな。

◎たしかに、非事業用資産とする場合はワンタイムのインパクト的な扱いをしなければなりませんね。

◆◆その項目が事業用資産(CFで見るのか)か非事業用資産(BSで見るのか)かはケースバイケースだから気をつける必要があるね。

さいごに

大抵のDDレポートはサマリーとして冒頭に検出事項の一覧があると思います。レポートを入手したらまずはそのサマリーの各項目をValuation上どのように扱うかをザクザクと仕分けていくというイメージで読み込むんでいくのが良いかと思います。

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