FAからみた専門家の先生方のイメージ・印象3 〜クライアントにとってどんな専門家が望ましいか〜

M&Aとキャリア
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前回に引き続き、FAからみた専門家の先生方について書いていきます。

(前回の記事)

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今回は、まとめとして、クライアントにとって望ましい専門家の姿について検討してみたいと思います。

FAとしてどんな専門家を紹介したいか

多数のM&A案件の経験があるのは大前提

まずFAとして紹介したいと思える専門家は、多くのM&A案件の経験を有する専門家です。

当たり前ですが、「専門家」と一口に言ってもその活動領域はかなり広く、M&Aにほとんど関与したことがない専門家も多数います。

そして、M&A案件に関与したことがない専門家が入る案件ほど惨めになる案件はありませんので、FAとして専門家のご紹介ができる限りは、必ず一定の経験を経ている有力な先生方を紹介するようにしています。

前回の記事でも記載しましたが、顧問弁護士、顧問会計士が出張ってくるときほど留意が必要です(たとえば、セカンドアドバイザーとして経験豊富な先生方をサポートとして付けるとか)。

自らを所詮は業者だと思っているか

M&Aの世界では弁護士、会計士、税理士等の先生業であったとしても、所詮は業者です。

あまりにも使い勝手がわるければ途中でも変更が可能、かつ、変更先として何人も有力な専門家がいるわけですから、自分たちは所詮は代替可能な業者であるという意識を持っているということはとても大事だと思います。

最難関の国家資格を取得した自負はあるかと思いますが、先生的な立場でM&Aに接するのは好ましくないと思うわけです。

サービス精神・営業精神といいますか、クライアントファーストでかつなるべくクライアントのニーズを満たすように動けるかということが大事だと感じられます。

検出事項を見つけただけで満足する専門家ではないということ

たとえばM&A案件のDDで、

「こんな発見事項を検出しました。この対象会社はこんなに問題です(他の専門家なら気付かないところまで調査しました)。」

的な報告をして満足される専門家が一定数いらっしゃいますが、大事なのは、

  • そのリスク項目をどのように評価し、クライアントとしていかなる対応をとるべきか

ということまで踏み込んでコメントすることだと思います。

DD報告書の書面で踏み込んだ記載ができなくても、DD報告会の場では口頭で協議することができればそれはそれで有意義なやりとりですし、クライアントとしてもある意味で方針が見えて安心するものだと思います。

しかし、一定数の空気を読まない専門家は、

「こんな検出事項がありました」

で終わってしまい、クライアントから

「それで我々はどのようにすべきですか?」

と問われても、本質的なコメントは何も言わないケースがあり、DD報告会がお通夜のようになってしまうケースもあったりしました。

そのような雰囲気になった場合僭越ながらFAとして、

「類似のケースでは●●といった対応をしたこともありましたが、そういう観点では先生方から何かコメントがありますか?」

と話題を振っても、

「ああそうなんですか・・・」

的なコメントしか帰ってこなくて苦心したこともありました。

自分の身を守ることばかりを考えるならM&Aの世界に入ってこない方がお互いの幸せ

場合によってはM&Aに不慣れで検出事項をどのように整理し、クライアントとしていかなる対応を取るべきかについて本当に分かっていない専門家も居るのかもしれません。

それはそれで困る専門家ですが、経験を積めば踏み込んだコメントもできる専門家に育つのかもしれません。

本質的に困るのは、そこまでコメントするのは自分たちの仕事じゃない(クライアントが勝手に判断せよ)的なスタンスの専門家の場合です。

自分の身を守るために積極的な発言を控えるというスタンスを取りたいという気持ちは分かります。

しかし、所詮は業者によるDDサービスなわけで、そこでクライアントが満足できるようなコメントができないのであれば、そのような専門家はM&Aアドバイザリーの世界には出張ってこない方が、本人を含めて色々な人々にとって幸せなのかもしれません。

さいごに

投資銀行(証券会社)で一定の経験を経た人間は、いかに自分たちが単なる一業者に過ぎないのか骨の髄まで染みこんでいます。

クライアントはM&A案件ごとにFAを変えますし、変える基準はそれぞれの案件につき、色々な意味でもっとも適合しているであろう証券会社を選ぶわけです。

ところが、専門家については「うちは毎回●●先生のところだから」と同じところに依頼をするケースが多いのかもしれません。

結局、比較論でしかそれぞれの専門家の良し悪しは評価はできないわけですから、クライアントの方が色々な専門家を使ってみるかという気持ちになるのが重要なのかもしれません。

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