議事録の書き方(2019年版)

仕事術
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FA業務においては、クライアントから議事録の作成を要請されることがあります。

全ての会議の議事録を必要とするケースもあれば、重要な会議だけ議事録が欲しいと言われるケースもあります。

いずれのケースであっても、必要十分な議事録をタイムリーに共有する必要があることは言うまでもありません。

一方で、議事録は若手のジュニアが作成するケースが多いですが、実際問題としてその仕上がりにはかなりの差があったりもします。

ということで、今回は議事録の書き方について考えてみようと思います。

議事録の書き方をGoogle先生に聞いてみた

FA業務に限らず、議事録というのはあらゆる仕事の基本だと思うので、世の中的に議事録というのはどうあるべきかが色々と論じられているだろうと思って、Googleで検索して上位にあった記事を片っ端から読んでみました。

それらの記事を集約化するとたいていの記事で書かれているのはこのような内容でした。

  • 議事録はなぜ必要なのか
  • 議事録の絶対的記載事項
  • 議事録を書くときの留意点(TIPS)

ということで、これらの要素をそれぞれ考えてみたいと思います。

議事録はなぜ必要なのか

議事録は、

  • 決定事項の明確化
  • 不参加メンバーを含めた関係者への情報共有

のために必要だと思います。

議事録の絶対的記載事項

  • 日時(日付・会議開催時間)
  • 議事録作成責任の帰属(作成者・作成日時)
  • 会議タイトル(議題の内容)
  • 場所(会議室名など)
  • 出席者(原則として社名・役職も明記)
  • 資料(配布資料があれば記載)
  • 議事内容・決定事項(発言者など詳細も記載)

議事録を書くときのTIPS

議事録は24時間以内に共有

相当数のサイトで議事録は24時間以内に共有しましょうということが書かれていました。

個人的にも早急に議事録を共有するのは極めて重要だと考えています。

仮にクライアント等の外部と共有する議事録であったとすると、まずは、社内メンバーに回覧してチェックしてもらうことを考慮すると会議後にすぐに着手するのが望ましいです。

他に緊急度の高い仕事があれば別ですが、基本的には会議が終わったらすぐに議事録作成に取りかかるのが記憶も鮮明なため望ましいと思います。

適宜まとめる(要らないところは切る)

会議によっては同じ話題をグルグルと繰り返したりすることがありますが、その過程を逐一残してもあまり価値はないケースがほとんどであるため、ざっくりとポイントを再構成してまとめることが重要です(ただし、議事録のまとめ方に不慣れな初心者はなかなかそれができないのですが)

箇条書きを駆使する

見やすさの観点で、箇条書きを駆使して文章にリズムを付けるのが良いと思います。

5W1Hに気をつける

  • What :会議のテーマは何か
  • Why :テーマをアクションする理由
  • When :テーマの実行に必要なことの期限
  • Where:テーマを実現する場所
  • Who :テーマを実現するための手続の役割分担
  • How :テーマを実現する方法

議事録を書くときのTIPS(2019年7月追記)

(2019年7月20日追記)

議事録の書き方の記事を書いてから2年以上経ちましたが、改めて読み返したときにもう少し踏み込んで留意点を書いた方が良いかなと思うところがありましたので、追記して再アップしてみます。

時系列で記載するか、議論を再構成してポイントだけを書くか

議事録を書く際に、まず悩む点としては、会議の議論を録音された音声を文書化するがごとく時系列に沿って書いた方が良いのか、またはある程度ポイントを絞って書いた方が良いのかというところではないでしょうか。

この点について絶対的な正解があるわけではなく、議事録を必要とする会議メンバーの要請や会社の雰囲気によって多少変わるかとは思いますが、原則として音声を文書化した議事録ではなく、議論のポイントを議事録作成者なりにある程度再構成して書いた方がいいと思います。その理由を挙げてみますと、次のとおりとなります。

会議の場ではある程度同じような話がグルグルと繰り返されることがある

会議のテーマが簡単な内容で、参加者の同意もすぐに得られるようなものであれば議論がグルグルとまわることはないのでしょうけれども、特にM&A案件の会議では、複数の選択肢・アイディアを様々な観点で検討することが多いため、発言者によって、

「あーでもないこーでもない」

と同じような話が繰り返されることがあります。また、ある話者がすでに別のメンバーの発言を繰り返すような、

「それってさっきも同じことを●●さんがいってたよね」

的な場面もそれなりにあります。

それらを逐一時系列で残しても、無意味に文書が長くなるだけでしょうから、ある程度ポイントをまとめて文書化するほうが望ましいです。

関連する論点が時間的にある程度離れたタイミングで議論されることがある

また、ある論点に関連した内容が、会議中の別のタイミングで議論されることがあります。

たとえば、買収に係る会計処理に関する議論を進めているとして、連結上の処理につき議論をした後に、法務的な話に進んだ後に、

「そういえば、先ほどの会計は連結の話でしたけど、単体の会計処理はどうなるんでしたっけ?」

といった具合に議論が戻ることがしばしばあります。

このような場合に、時系列的に、

  • 会計(連結)→法務論点→会計(単体)

と議事録をまとめるよりは、

  • 会計(連結→単体)→法務

と順番を入れ替えて記載した方が、議事録の読み手にとって分かりやすいケースの方が多いでしょう。

議事録の目的に立ち返ってみればどちらが望ましいかはおそらく明確

この記事の前半で申し上げたとおり、議事録作成の主な目的は、

  • 決定事項の明確化
  • 不参加メンバーを含めた関係者への情報共有

の2点です。したがって、この目的を果たすためには、

  • 関連する決定事項がまとまって明確にわかる
  • 不参加メンバーを含む会議の関係者が読んだ際にストレスなく議論の内容にキャッチアップできる

といった議事録を作る必要があり、それは自ずと時系列方式よりはポイント再構成方式が望ましいとなるものと思われます。

では、どうやって再構成すれば良いのか 〜議論をツリー構造にせよ〜

議事録を作成することが得意な方は自然と上述のような「ポイントの再構成」を上手く取り入れていると思いますが、たとえば新入社員のようにそもそも議事録を作成したことがない場合に、

「議事録とっといて」

とだけ指示された場合、往々にして時系列発言集のような議事録が出来上がり、上司からダメ出しを受けるということになるケースが多いでしょう。

新入社員としては、「だったらどういう議事録が望ましいのだろう?」と悩むでしょうから、望ましい議事録を作成するためのポイントを考えてみました。それは、

会議の議論をツリー構造に再構成する

ということです。

ツリー構造にするということは、ある論点をそれと同じ階層の論点と並列で扱い、それらの論点を上位概念としてまとめていくということです。

より具体的に言えば、たとえば、デュー・ディリジェンス(DD)を始めようというキックオフ的な会議の場合、次のようなツリー構造として議論をまとめることができるでしょう。

  • DDの実施に際して
    • 案件概要の確認
      • 概要(ストラクチャー・スケジュール・案件全体の状況)
      • 関係者の確認(会社・専門家・FA)
      • 情報管理等ルールの再確認
        • 案件コード
        • 独禁法対応(ガンジャンピング規制対応)
    • DD実施要領の説明
      • 日次スケジュール確認
      • 資料開示方針
      • Q&A方針
      • インタビューセッション方針
      • VDRの扱い
    • DDにおける初期的な重点ポイントの議論
      • 法務の重要ポイント(●●事業の契約を重点的に確認、労務リスクも気になる・・・等)
      • 会計・税務の重要ポイント(●年前の買収処理が正しいか確認、見積もりの適正性確認・・・等
    • DD報告会のアレンジ(中間・最終)※たとえば、報告会のアレンジをする中で、日次スケジュール(Q&A最終日等)についてある程度調整を要請されたりすることが多いです。その場合、上記「日次スケジュール確認」のセクションに当該ポイントをまとめて書くことになるでしょう。

良い議事録が作れるかどうかは、事前準備(アジェンダ作成)にかかっている

上記のツリー構造を見て頂くと感じられると思いますが、実は良い議事録は会議のアジェンダを事前にしっかりと作り込んでおけば、自ずとそのアジェンダに議論を追記していくことで簡単に作成できるようになります。

逆に言うと、アジェンダを事前に作り込んでいない会議の場合は良い議事録をまとめあげることは骨が折れる作業になるでしょう。たとえば先ほどの例で言うと

「とりあえず、DDはじめるからキックオフ的MTGをするので集まって」

とメンバーを集めてみたは良いものの、FAがアジェンダを全く用意していない場合には

「で、何から会議をやりましょうか」

となってしまい、議論もスケジュールの話が全体とDDとで混同したり、セッションの話をしているときに、

「そういえば独禁法大丈夫ですか?」

とか各人が気になることを言い出して議論が迷走することでしょう(さすがに、実際にはそんな怠慢なFAが居るとは思えませんが・・・)。

ということで、部下に議事録を作成させた際に、そのできが悪い場合には、その会議のアジェンダがそもそも劣悪だったという可能性も否めないわけです(そのような劣悪なアジェンダしか作れなかった上司の責任も一定程度あるのかもしれません)。

さいごに

議事録が上手く書けるようになるためには、

  • まずは、とにかく書くこと
  • 次に、しっかりとレビューを受けること
  • そして、上手い人の議事録を大量に読んで書き方の型を覚えること

だと思います。

ある意味で習うより慣れろの部分もあるので、まずは量をこなすのが良いかなと思います。

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