いよいよ12月に入り、2020年も残り少なくなってきましたね。
お昼でも太陽の高度は低く、影は長いですし、ビルの間では陽が入らなくなるところも増えてきました。
10代の頃「冬来たりなば春遠からじ」という諺を知った時に、昔の人は上手いことを言うなと思ったのですが、それが
- If winter comes , can spring be far behind?(冬が来るなら,春が遥かに在り得ようか?)
の和訳で、本来は英語だったと知った時はさらに驚きました。
この諺については、こちらのホームページで本来の意味・ニュアンスについて解説されていたのでよかったらご一読ください。
さて、今回の週刊M&Aバンカーは、
です。
【仕事術】先読み先回りをして仕事をできるだけコントロールしよう
仕事の苦悩はゼロにはならない
仕事が多くて辛いというのは多くの人が経験したことのある苦悩だと思います。
M&Aアドバイザリーの仕事も、特に若手の方は、突然降ってくる謎の案件の謎の単純作業やプロマネの趣味なんじゃないかと思える細かい作業等、「これ本当にやる意味あるのかな?」と思える作業で忙殺されるのは相当辛いものだと思います。
じゃあ、シニア層になれば楽になるのかといえばそれはそれで苦悩はあります。たとえば、
- 顧客の要求度が高く少しでも期待に沿わないとクレームが入る
- 案件が何個も並行して行われてだんだん記憶が混ざってきてどれの話が瞬間的にわからなくなる
- チームメンバーがミスしてとにかく(不本意ながら)謝罪する
といった感じで、どんな立場になっても苦悩が完全に尽きることはないと思います。
どうすれば、少しでも苦悩を減らせるか
仕事の苦悩を減らすひとつの考え方は、いかに自分が状況をコントロールしていく(という実感を持つ)かということだと思いまます。
要は状況に振り回されるのではなく、自分から状況に働きかけて、それを動かしているという意識になることができれば、身体的にはしんどかったとしても、メンタルがガリガリ削られるってことはなくなるのではないでしょうか。
では、どうすれば状況をコントロールできるようになるかといえば、それが表題にもあるとおり、
- 仕事の先読み・先回りをする
ということだと思います。
仕事の先読み・先回りとは
仕事の先読み・先回りをするというのは、一般論的にいえば、
ということだと思います。
FAの仕事的な具体的を示してみる
もう少しイメージしやすいように具体例をあげていうと
- 入札案件の買手候補のFAに着いているのであれば、売手FAに定期的に連絡して、Bidの状況、他社の検討状況をリサーチして、率先してクライアントに報告しておく
- インタビューセッションのアジェンダ・質問状のたたき台は、そのセッションが頭出しされたタイミングでセッションの意義説明とともに、具体的な進め方をクイライアンとにインプットする
- Valuation報告会で、参加者の理解度に差があった場合のため、DCF法の基本や企業価値と株式価値の違い等、基本的な資料をAppendixに混ぜ込んでおき、その場で臨機応変に参照しながら説明する
といった感じです。
この事例をダメなケースにあてはめると・・・
これらの具体例に関して、先読み先回りしていないとどうなるかと言えば、
- 入札の情報収集を怠った場合
- クライアントから、そういえば、競合他社の状況はどうなっているんですかと問われた時に、今から確認しますとなり、その状況から売手FAを捕まえることができず、タイムオーバーになってしまう
- インタビューセッションの意義・進め方を事前インプットしなかった場合
- クライアントから、そういえば、数日後にあるあのセッションってなんのためにやり、どんなアジェンダでしたっけ?質問状できていますよね? と問われ、そこから突貫で作業をチームメンバーに指示する
- Valuation報告会で基本的な資料を手元に準備しなかった場合
- 企業価値と株式価値の違いを理解されていない参加者がいた場合、謎の身振り手振りで説明をするが、空中で言葉を述べるだけで相手に視覚的なイメージをもっていただくことができず説明下手の烙印を押される
といった感じなってしまうかもしれません。
まあ、ここまでオーバーに失敗することはなくても、ひたすら突貫作業を繰り返して、なんとか辻褄合わせをし、それがチームメンバーの心身の犠牲によって成り立つという苦しい状況になっているということはしばしば散見されることだと思います。
先読み・先回りはチームリーダーの仕事だが
本来であれば、先読み・先回りをして仕事の段取りをしっかりと組んでおくことはチームリーダーの役割です。
ところが、ジュニアの方が不幸にして、そのような動き方をしないリーダーの案件に入ってしまった場合には、自分の身を守るという観点でまずは自分たち案件チームとして、しっかりと先読み・先回りをしていくことを方針とするように働きかけましょう。
要は段取りの構築を自らやってしまい、チームリーダーには確認を取るだけというところまで詰められれば万全です。
さいごに
チームリーダーとしては、最後辻褄があったからそれでOKとするのではなく、仮に段取りに失敗し、突貫作業が発生してしまったら、それは自分の落ち度だとしてメンバーに感謝すべきですし、しっかりと労う必要があると思います。
少なくとも、個人的にはそういう気持ちを忘れず、日々尽力していきたいと思います。