M&Aと人事異動 〜異動情報はトップシークレット〜

M&A講座
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日本企業は人事異動が多く、特に4月前後には大きな人事異動がなされる傾向にあります。

M&Aの検討プロジェクトは人事異動とは無関係に進むように感じるかもしれませんが、これが、意外にもかなり影響を受けたりもします。

たとえば、M&Aに積極的だった事業部のキーパーソンが異動でプロジェクトを外れてしまい、M&Aに消極的だったコーポレート部門の声が強くなり、結果的にM&Aを見送ることになるということもあり得ます。

ということで、今日はいつもの先輩と後輩の対話を通じてM&Aと人事異動についてみていきましょう。

文頭のマークが◆◆→先輩、◎→後輩 です。

M&Aと人事異動に関する対話

なぜあのM&Aは検討ストップしてしまったのか

◎先輩、今日はほとんど雑談なんですけど、M&Aと人事異動について考えてみたいです。

◆◆ふむ、どんな話かな?

◎M&Aが成功するのかどうかっていうのは、キーパーソンをおさえて社内の反対派を黙らせるというのも大事な観点ですよね。

◆◆そうだね。M&Aがうまく行かないのは社外の事由によることもあるけど、意外にも社内事由によって検討がストップすることもあるかな。

◎社外事由というのは、

  • 対象企業とのシナジー効果が想定よりもなさそう
  • 対象企業のValuationの観点で買収金額を正当化できなそう
  • 取引条件が買手として不利すぎる

という感じの内容ですよね。

◆◆だいたいそんなところかな。一方の社内事由っていうのは人間関係と組織のパワーバランスに起因するものという印象だね。

◎なるほど。たとえば、ワンマン社長が「ぜひ、検討しろ」と言ったから取り組んでいたM&A案件について、やっぱり社長が気に入らなくなったということで「検討取りやめ」になったりなんてことはしばしば耳にしますが、そういうのが「社内事由」ですかね。

◆◆そうだね。上場会社のM&Aではワンマン社長による「独断」はあまりないのだろうけど、「社長の意向が比較的大きい会社」というのは結構あるからね。

◎ええ。サラリーマン社長じゃなくて、オーナー系の社長だったりするときには特に留意が必要ですよね。

◆◆社長ではなくても、コーポレート部門のM&A検討部署のキーパーソンの意向であったりもかなり重要なファクターだからそれらのキーパーソンの意向を確認しつつ着実に案件が進むように情報共有していくことが重要だよね。

◎まったくそのとおりですよね。

積極派・消極派の人物の異動

◆◆それで人事異動の話はどうつながるの?

◎たとえば、社内でM&Aに推進派だった人がM&Aの検討ポストから外れてしまうと、急にトーンダウンしてしまうこともあります。一方で、逆に消極的だった人が外れたりすると、すんなりと物事が進むようになったりしますよね。

◆◆たしかに。

◎その人事異動って4月前後になされることが多いですよね。

◆◆そうだね。あれ、もう4月になってたんだ。ついこの前、年が明けたと思っていたのに・・・。

◎私の担当している案件結構込み入っているのもあるのですが、4月を越えても幸いにキーマンの異動がなかったので良かったです。もし、その人が異動してしまったらどうなっていたかわからないですからね。

◆◆日本でM&Aをやっていくというのは人事異動との関連性をよく考えていかなきゃならないよね。クライアント側のM&Aに対するスタンスが大きく変わりかねないわけだから。

人事異動情報はトップシークレット

◎そのようですね。それで、最後にもうひとつ話題なんですが、人事異動は社内外でもトップシークレット扱いなんですよね。

◆◆それはそうだよ。当人の人生が相当程度左右される事象だからね。当人は知らなくても、周りは知っていることもあるし、当人は知っているものの、周りは一部しか知らないということもあり得るよね。

◎M&Aの仕事をしていると、内々に人事異動についてのクライアント内の動きを囁かれることもあるんですが、それを誰が知っていて誰は知らないのかを正確におさえた上で会話しないと地雷を踏みそうで怖いですね。

◆◆基本的には、マンツーマンで会話する時、かつ相手方から直接人事異動の話を囁かれた場合以外はこちらからはその話をするのは慎むべきだね。もし、自分が起点となって情報が漏れたなんてことになったら大クレームを覚悟しなきゃならないだろうから。

◎インサイダー情報並の情報管理をするんだという意識でやるべきですかね。

◆◆そういう心構えはとても大事だよ。

さいごに

クライアントと親しくなってくると、人事異動情報でなくてもいわゆる「社内インサイダー情報」を共有していただくことが増えていきます。

そうした場合、その情報を教えてくれた方と会話する場合でも、他の案件メンバー(クライアント側も当社(FA)側も含め)がいる非マンツーマン状況では、基本的にその社内インサイダー情報を話題にするのは御法度であると強く認識しておくことがとても大事だと思っております。

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