先輩との対話 / クライアントの興味と理解度の反応から話の進め方は変えるべき

仕事術
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今回はいつもの先輩と後輩に登場していただき、クライアントとのディスカッションの進め方について考えてみます。

文頭のマークが◆◆→先輩、◎→後輩 です。

新規の売却案件のディスカッションをしてきた後輩のつぶやきから

◎先輩、おつかれさまです。今日は新規で売手のアドバイザーとして起用されることとなったクライアントを訪問して今後のプロセスの進め方をディスカッションしてきたんです。

◆◆ふむふむ。

◎しかしながら、そのクライアントの反応がいまいちだったんですよね。

◆◆どういうこと?

◎状況としては、

  • 売却プロセスの全体像
  • 入札形式と相対形式の違い

なんかを丁寧に説明したんです。でも、お客様の顔を見るにいまいちピンときてない風だったんです。

◆◆なるほどね。もしかするとそのお客様は

「どんな買手候補がいるんだろう?」

ということに興味があったのかもしれないね。

◎あれ、そういうものですか?

法規制や手法論を論ずるのが正しいとは限らない

◆◆M&Aの経験がそれなりにあるクライアントの担当者であれば法規制や手法論についても興味を示すのかもしれないけど、「はじめてM&Aをやります!」というクライアントの場合、相手の属性にもよるけど、一般的には手法論を話してもちんぷんかんぷんになってしまうのだろうね。

◎たしかにそのクライアントはM&Aの経験がほとんどないですね。

◆◆我々のようなM&Aアドバイザリー業務ばかりやっている人間は、法規制や手法論を詳しく論じたくなるし、そうすることが付加価値だろうと錯覚しがちなんだけど、必ずしもそうとは限らないんだよね。

◎そうなのですか。

◆◆誤解を恐れずに言えば「はじめてM&Aをやります!」というクライアントは、売却想定額がどの程度なのかとか、どんな取引相手になりそうなのかくらいしか興味がないんだろうね。

◎え?

◆◆興味がないと言うのは言い過ぎかもしれないけれども、売却のために必要な法規制や手法論がそもそも論点になり得るという心構えになっていないんだと思うんだよね。

◎話を理解するための準備ができていないということでしょうか。

相手の理解度に応じて話題は変えていこう

◆◆そんな感じだね。売却プロセスの入札形式がああだこうだとか、デュー・ディリジェンスは大変ですよ、とかそういうのは売却プロセスの経験があればわかるだろうけど、何もかもがはじめての会社に「かくかくしかじかで」と言っても消化不良になるだけだよね。

◎たしかに消化不良ですという顔をしてましたね。

◆◆売却案件に着手するに際してもクライアントの経験値に応じてどんな話をすべきかを変えていく必要があるんだよね。「買手候補は誰か?」というのはすごくわかりやすいし、誰しもが興味を持つところなので、はじめてのクライアントでもたぶん食い付きが良くなると思うよ。

◎ 次回訪問するときにはそのあたりの話を重点的に触れるようにしてみます。

話題を10個用意したとしてそのうち3個でも伝えられれば十分かもしれない

◆◆まあ、本来的には初回の訪問時から論点は網羅的に持っていっておいて、クライアントの反応をみながらどこまでを伝えてくるかを変えるという進め方が良かったのかもね。

◎・・・厳しいですが、そのとおりかもしれません。

◆◆我々の仕事は、伝えるべきことはしっかりと伝えるというのが原則なんだけど、その伝え方というか、いつ誰にどのように伝えるのかということについてはいろいろと工夫の余地があるからね。

◎マテリアルは網羅的に作って持参しておき、相手の反応をみながら重点を置くポイントを変えるというのが良いのですね。

◆◆そうだね。クライアントとの話の進め方はケースバイケースで対応しないとならないよね。話題を10個用意して、そのうちの3個でも適切に伝えられれば、その訪問は上手くいったと思えるというイメージかな。

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