週刊M&Aバンカー第43号:対面(フィジカル)での定例会議は概ね非効率である

週刊M&Aバンカー
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5月の半ばでこれほどじめじめと雨が降りつづけることがあったでしょうか。

来週は若干晴れ間もありそうなのが楽しみであります。

さて、今週は、

【仕事術】対面(フィジカル)での定例会議は概ね非効率である

です。

【仕事術】対面(フィジカル)での定例会議は概ね非効率である

フィジカルの定例会議は無駄が多い印象であった

※今回の話は「定例」会議についてです。テーマを決めてピンポイントに実施される個々の会議全般について述べたものではありません

事業会社においてはM&A案件の検討は非定型業務であり、プロジェクトメンバーは通常業務と並行して作業することが求められます(要は、みなさま忙しい)。

それにもかかわらず、”エライ人”の都合からか

とりあえず、定例会議を週1回やりましょう

といわれるケースが相応にありました。

そして、そのような定例会議は全く発言せず、何のために参加しているのかわからないメンバーも含めて大所帯になることもありました。

コロナ禍前は、FAとしてはクライアントが定例会議をやると言っているのに、

「それは無駄が多いので、スポットで適宜開催しましょう」

とはいえず、承知しましたの二つ返事で対応せざるを得ませんでした。

もちろん、リモート参加なんて基本的にはありえず、地方のクライアントで出張対応しなければならない場合には毎週移動でヘトヘトになるということもありました。

しかも、その定例会議で何か有用なことが決まったり進捗したならまだしも、

(今回も状況確認で終わってしまい、概ね前回とあまり変わらなかったなあ)

というケースもあったりでした。

Web会議・電話会議(リモート会議)が当たり前になった現在

コロナ禍によって、クライアント側から

「会議は原則としてWebか音声でのリモート参加ができるように手配してもらえますか」

といわれたり、当社(FA)側からリモート対応をお願いするケースもあり、かなりの会議がリモート開催となりました。

あれだけ対面での会議にこだわっていたクライアントもリモート会議の利便性に気付くと、

「もう、定例会議はリモートで十分ですね」

とおっしゃる状況でありました。

結果的にあんなに行っていた出張も激減してしまいました(JRや航空会社が業績急落するのもうなづけます)。移動時間がなくなるというのは参加者にかなりのメリットをもたらすことにみんな気づいてしまったわけです。

リモート会議で改善された部分

移動して集まる必要がなくなったというのが、リモート会議で改善された最大の特徴なのかもしれませんが、それ以外にもいくつか会議の効率化に繋がった要素もあると感じています。

会議資料の事前送付が原則となったことに伴う改善点

リモート会議では、「資料は当日持参します」ということはできなくなり、原則として事前にメール等で資料を送付しておく必要があります(配布せずWeb会議で投影するのみの資料を除き)。資料を作る側としては時間的な余裕が若干減ったというデメリットもありますが、それ以外にはメリットしかないと感じています。

  1. アジェンダを事前に送るので何を議論するための会議なのかが見える化された
    →たいしたアジェンダがなければ、リモート会議をキャンセルすることもあり得る
  2. 資料を単に読み上げることが激減した
    →むしろ事前に送付した資料を読んでいただいていることを前提にして話をすすめることも場合によっては可能になってきている
  3. あの資料持ってくれば良かったという後悔がなくなった
    →事前送付していなかったものの、補足的に必要となった資料は、その場でフォルダからピックアップしてWeb会議で投影すれば良い

会議システムの都合と時間配分

一部のWeb会議等では事前に設定した時間しか会議が開催できないというケースもあります。

(FA側が主催する場合には無制限に延長できるように適切なWeb会議システムを選ぶべきですが、クライアント側が主催する会議では、時間制限があったりするケースもあります)

たとえば、1時間ちょうどで会議が強制的に切断されることがわかっているのであれば、その1時間以内に議論すべきアジェンダをしっかりと消化していく必要があります。

対面での延長戦ありきの会議よりも、効率的に時間配分をしなければならないのだという意識を持った参加者が増えてきた印象です。

会議開催の時間帯

フィジカルに集まって会議を開催する場合には、概ね10時〜17時のスロットの中で調整されることが多かった印象ですが、リモート会議でOKとなった今では、8時からやりましょうとか、20時からで良いですかといった具合に、開催の時間帯もより幅広になってきたように感じます。

在宅ブラック勤務なんて言葉もあり、たしかに見えざる残業が増えているのかもしれませんが、うまく息抜きしつつ会議を分散させられるというのはメリットもあるように感じます。

リモート会議で気をつけたいこと

リモート会議で気をつけるべきは、ITインフラの整備と終了後の議事録回付の徹底でしょうか。

ITインフラの整備と会議時の音声・映像の確認

FA側は多くの証券会社がIT投資を継続しているため、Web会議・電話会議アカウントはもちろん、使用する機器も一定レイベル以上のものが配布されていることと思います。

他方で、クライアント側は必ずしもそのようなITインフラの整備が進んでいないケースもあったりします。

特にWeb会議の時に音声や映像が乱れてしまうということがあると会議どころではなくなってしまうため、仮にそのような乱れが生じやすいクライアントとの会議をする際には、バックアッププランも用意して会議に臨むべきでしょう。

たとえば、音声は電話回線でつなぎ、映像のみをWeb会議で流すとかがひとつのアイディアですね(電話回線はさすがに万人が携帯電話をもっている今では脆弱なケースが稀ですので、電話回線でやりとりすれば少なくとも音声はクリアに伝えることができるはずです)

議事録の回付

会議の後には議事録が必要であるというのは当たり前ですが、特にWeb会議の場合は前述の通り音声・映像の乱れがあったりして聞き取りにくいケースも相応に考えられますし、意図とは異なる解釈がなされしまうこともあるかもしれません。

ゆえに、タイムリーに議事録を作成し共有することで会議の内容を参加者内で共通化しておくことが必須だと感じます。

さいごに

いつかコロナ禍がおわり、以前のように自由に対面で会える日常が戻ってくるとは思いますが、そうなってもここまで浸透したリモート会議の文化は相当程度残ると思います。

たとえば、M&Aの条件交渉であってもリモートでもやってやれないことはないわけで、そこまで厳しい状況とはならない定例会議的なものは原則としてリモートでやりましょうという風潮が続くように感じます。

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